公開日本国市民憲法(Open Constitution for Citizen of Japan)
日本国民が常に立ち戻るべきは、明治維新ではなく、終戦である。 太平洋戦争終結後、日本国民は、 大東亜戦争という「聖戦」の真実を始めて知ることとなった。 国家による暴力が、自国民のみならず周辺国の夥しい数の民衆の命を断った。 彼等の無念さと、その家族の深い悲しみに思いを馳せたとき、 たとえ自らの頭に銃口を向けられようとも戦争に反対する覚悟と、 たとえ強大な国家であろうとも戦争をやめろと公言する決意を、 全ての国民が共有していたはずだ。 第 9 条に加えるべきは、自衛隊や国防軍ではなく、この覚悟と決意の宣言である。
およそ、人類は生物学史上最も残忍かつ低劣な種である。 僅か 300 年あまりの間に地球上の全ての地域は、人類によって隈無く収奪され、 他のあらゆる種を巻き添えにして、殺戮と破壊を繰り返して来た。 その縄張りは国家と呼ばれ、 国家による地球の分割の均衡は武力によって保たれている。 人類が、地球上で名誉ある地位を得るには、 この最も下劣で下等な生物学的本能を超克する必要がある。 だが、国家の指導者達は言う、 「国の平和と安全を守るためには自衛のための軍備は必要であり、 これは他国に対する抑止力でもある」と。この欺瞞に目を塞がれてはいけない。 抑止力は人々を軍拡競争というチキンゲームに巻き込み、 その結果、双方共に多大な犠牲を強いられるのだ。 実際、自衛という名の下、2 度の世界大戦と、数え切れない地域紛争と、 そして世界規模のテロの拡散を引き起こしてきた。 国家は、歴史、文化および社会を共有する共同体に分割されなければならない。 共同体間の利害対立は、武力ではなく、 話し合い(外交)によって解決しなければならない。 それには、自己に対する謙虚さと、他者に対する敬意が必要となる。 常に、テロや紛争が起る度に、先進国と呼ばれる欧米の国家指導者達は、 良く自由と民主主義を守るために戦うと高らかに宣言する。 しかし、自己に対する謙虚さと、他者に対する敬意が伴なわない自由は、 結局武力でしか解決できないことは、この 200 年の歴史が示している。 現在世界で頻繁しているテロや紛争は、 彼等先進国が先導してきた国家主義的「自由」の帰結であると認識すべきだ。
第 9 条は、当初から懸念されていたように、 自衛のための戦争は否定していないと曲解され、 自衛隊という名前の軍隊ができ、事実上反古にされた。 これは、第 2 項の「前項の目的を達するため」の「前項」が、 第 1 項の「国際紛争を解決する手段」として解釈できるからだ。 第 9 条第 1 項の、この武力行使の必要条件は削除しなければならない。 そして、元の原案の通り、戦力放棄を明確に宣言するのだ。
第 9 条を表1[戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認(第9条)]のように変更する。
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第 9 条 日本国民は、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、国際紛争を解決する手段としては、永久にこれを放棄する。 2 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 |
第 9 条 日本国民は、国家主義と決別し、 抑止力による力の秩序ではなく、 対話と敬愛の実行で、 国際社会の平和と安定に積極的に貢献することを決意する。 2 日本国民はまた、正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、永久にこれを放棄する。 3 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。 |
国会議員数は、正確に、有権者数に比例した構成であるべきである。 現行の比例代表並立制では、 小選挙区で出る大量の死に票を比例ブロックで拾うということとしているが、 前回および前々回の衆議院選挙では全く反映されていないことがわかった。 憲法には、選挙の内容についての記述はないが、前文の冒頭に、 「日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し」とある。 有権者の僅か 17 % の得票数で、2/3 の議席を獲得できるような選挙は、 およそ「正当な選挙」であるはずがない。そもそも、 死に票が出るような選挙制度は憲法違反である。 「国会議員の一票=投票した有権者数」であって、 その数の順に選ばれるべきだ。 現行の小選挙区制は直ちに廃止しなければならない。 それでは地方の意見を汲み上げられないと言うなら、地域独立制にし、 権限・財源を地方自治体に委譲すれば良い。
選挙での、得票数と議員数が完全に比例するような、 公正な議席数を担保することを明記する。しかし、こうすると、現在のような低投票率だと、 有権者の過半数に相当する議員数は、ほぼ全ての議員になってしまう。 このような場合には再選挙を行なうことになるだろう。それは、 現実的に議会運営が行なえる投票率になるまで繰り返される。 一回の選挙で約 700 億円かかると言われているので、2 回で 700 億円、 3 回で 1400 億円の税金が無駄になる。だが、これは国民自身の責任なのだ。 有権者の投票率が 50 % を下回る場合、 および 50 % を上まわる場合であっても、 議会運営上著しく支障を来すおそれのある場合には、 再選挙を行なうことを明記し、 第 47 条を表2[議員の選挙(第 47 条)]のように変更する。
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第 47 条 選挙区、投票の方法その他両議院の議員の選挙に関する事項は、法律でこれを定める。 | 第 47 条 選挙は、 厳格に有権者の数を反映させるものとし、選挙区及び投票の方法は、 厳密にこれに従うものとする。 2 投票率が、50 %を下回る場合、 又は議会運営上著しく支障を来すおそれのある場合には、 憲法裁判所は再選挙を行なう指示をすることができる。 3 両議院の議員の選挙に関する事項は、 国民委員会の選挙制度専門委員会でこれを定める。 |
また、委員会の議決は、全て、 有効議員の過半数をもってこれを行なうようにする。 なお、有効議員数とは、有権者数に相当する議員数のことを言い、 下記のように定義される。
(1) |
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第 56 条 両議院は、 各々その総議員の三分の一以上の出席がなければ、 議事を開き議決することができない。 2 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、出席議員の過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。 |
第 56 条 全ての議事は、 有権者数に相当する議席数を基準とする多数決で運営する。 2 過半数とは、 (総議員数/投票率)/2 のことであり、 三分の二とは、(総議員数/投票率)×2/3のことである 3 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、過半数でこれを決し、可否同数のときは、議長の決するところによる。 |
改正前 | 改正後 |
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第59条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。 2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で出席議員の三分の二以上の多数で再び可決したときは、法律となる。 |
第 59 条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、両議院で可決したとき法律となる。 2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、衆議院で三分の二以上で再び可決したときは、法律となる。 |
改正前 | 改正後 |
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第 67 条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。 2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。 |
第 67 条 内閣総理大臣は、国会議員の中から国会の過半数の議決で、これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、これを行ふ。 2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、法律の定めるところにより、両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は衆議院が指名の議決をした後、国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。 |
我々は、代議制民主主義は独裁国家を生むという教訓を忘れてはならない。 ムッソリーニのファシスト政権は民主的な選挙によって選ばれ、 ヒトラーのナチ政権はワイマール憲法に従って成立した。 彼等ファシストは正当な選挙によって選ばれた指導者達なのだ。 代議制民主主義が独裁国家を生む理由は 2 つある。一つは、 選挙に勝てば全てが手に入るということ、もう一つは、 選んだ政権が暴走してもそれを止める手立てがないことだ。 前者の要因は、嘘をついて議員になっても許されること、 絶対多数を取れば国会など無いに等しいこと、 現実は立法・司法は行政の管理下に置け実際には三権分立になってないこと、 全ての政策はパッケージとして一つの党の公約に委ねるしかないことである。 一方、後者の要因は、本来議員は正当な選挙で選ばれた者であり、 国民に嘘をつくような者ではないという性善説に立っていることだ。
国家が暴走した場合、歴史的には抵抗権として革命は認められてはいるが、 結局暴力でしか解決できないということは、 代議制民主主義自体が欠陥システムであると言わざるを得ない。 この代議制民主主義の基本的欠陥を修正するには、 立法・司法・行政を市民が直接監視する組織(国民委員会)を、 国家機構とは独立した機関として作るしかない。
国民委員会の役割は以下の 4 つである。
まず第 1 に、裁判官の任命権は、行政ではなく国民委員会が持つことだ。 これにより、従来の人事権行使による脅迫で、 裁判官への判断を行政寄りに優位に進める蛮行は防げる。
第 2 に、不正行為や公序良俗に反する行為をした議員を、 公正に審査し、その資格を剥奪する権限を国民委員会に与えることだ。 現状では、いくら法に違反した行為をしていたとしても、 絶対安定多数を取ってしまえば、のうのうと大臣にまでなれる。 このような人倫に悖る議員は、国会ではなく、 国民委員会で裁かなければならない。
第 3 に、国政の重大な決定をする際に、意見を聞くのは専門家ではなく、 国民委員会にすることだ。原発は、歴代の自民党内閣では、 原子力専門部会で、安全であり絶対に事故は起らないと言い続けられ、 年金資金は、政府の外郭団体である GPIF で、 常に公正に運用されていると言う。だが実際には、福島で事後が起り、 8 兆円もの年金資金が消えた。専門家の言説は、金と権力で、いとも簡単に、 危険が安全に、不正が公正に変るのだ。一方、 素人が、 いきなり専門的な事柄について協議することは不可能だと思われるだろう。 だが、決定する事項は、専門性を必要とする細部ではなく、 政策を施行するか否かの社会的・倫理的な事項なのだ。原発は、 いったん事故を起せば、 大規模で不可逆的な生態系自体の破壊を招くことは明白であり、 年金という老後の生死に関わる大切な資金を株式に投資するという行為が不道徳であることを理解できれば、 自ずとその結論は明らかであろう。 いずれにせよ、専門家の知識が必要であれば、 その都度講師として招致すれば良いのであって、 専門家というものはそのために存在するのである。政策に関する諮問委員会は、 全て国民委員会の専門部会に限ることとし、従来から、 政府が恣意的な政策誘導を行なうために設置している、 政府諮問委員会や有識者会議などは全て廃止する。 また、公的・私的を問わず、総理大臣および内閣は、 独自に一切の諮問委員会を設置できないようにする措置を盛り込む。
第 4 に、全ての予算に関わる税金について、その使途を審査する。 ここでの審査は、かつて行なわれた事業仕分けや行政事業レビューなどの、 実際には何の意味もない、アリバイ作りのパフォーマンスではなく、 予算の最終執行権を与えるものであり、 個別の事業の実行の可否を決定するものである。
国民は、誰でも行政に関わる問題を国民委員会に審査請求できるが、他方、 国民は、国民委員会の委員となる資格を有し、 一部直接的に政府の政策に関与する。なお、 国民委員会の委員は、現行の裁判員と同様にして、国民から任意に選出される。
まず、直接民主制の導入を前文の冒頭で明記する(表6[前文]参照)。
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日本国民は、正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。 |
日本国民は、われら及び正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。 |
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(存在せず) | 第 40-1 条 国民委員会は、主として、 法律の策定及び瑕疵等の判断の根拠となる事実を、 調査・研究するための諮問機関であが、 内閣の策定した予算の施行の可否、 並びに全ての裁判官の指名・訴追・任命も行なう。 2 国民委員会は、 全ての権力から独立した機関であり、内閣、 国会及び国民から要請があれば、 当該事項に関する専門の国民委員会を設置しなければならない。 3 全ての国民は、要請があれば、 上記第 2 項で設置される国民委員会の委員として、 参加する義務を負う。 4 国民委員会は、 国民の中から任意に選ばれた委員で構成される。なお、必要ならば、 当該事項に関する専門的知識を有する者を、 講師として招致することができる。 5 国民委員会は、当該事項別に、 独立に設置され、独自の委員で構成される。 6 国は、 国民委員会の任務遂行に関する全ての原資を補償し、 又国民委員会の委員の身分は、社会的に保証されなければならない。 7 内閣は、法律の策定にあたって、 その内容を諮問する組織は唯一国民委員会のみであって、 この他の専門委員会を設置してはならない。 |
税金の使途については、第 86 条の予算の作成の要件に、 国民委員会の審査を加える(表8[予算の作成(第 86 条)]参照)。
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第 86 条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。 | 第 86 条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、国民委員会の審査を経た後、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。 |
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第 84 条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、法律又は法律の定める条件によることを必要とする。 | 第 84 条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、国民委員会の審査を必要とする。 2 あらたな租税は、法律でこれを定める。 |
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第 90 条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。 2 会計検査院の組織及び権限は、法律でこれを定める。 |
第 90 条 国の収入支出の決算は、すべて毎年会計検査院がこれを検査し、国民委員会の審査を経た後、内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、これを国会に提出しなければならない。 2 会計検査院の組織及び権限は、国民委員会の審査を経た後、法律でこれを定める。 |
国会は、政策を立法化する機関であるという基本に立ち戻り、 全ての法律を議論するべきである。現状では、内閣が提出した法案のうち、 主要なものだけが取り上げられ、 国民に伝えられるのは更にそのうちの一部に過ぎない。さらに、 現実に報道されるのは、ほぼ予算委員会に限られるが、 概ね一方的な批判の応酬であり、議論になっておらず、 結果、その内容には見るべきものがない。特に、 マスコミ受けする議員のスキャンダルの喧騒な議論が多いが、 議員個人の不正行為や倫理違反に関する問題は、 全て国民委員会で審議すべきで、予算委員会で行なうものではない。 そもそも、あまりにも議員の不正行為が多過ぎる。 これは国会議員の使命を、議員自ら理解していないからだ。 第 44 条にこれを明記し、表11[議員及び選挙人の資格(第 44 条)]に変更する。
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第 44 条 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。 | 第 44 条 国会議員は、 国民の厳粛な信託を受けたものと自覚し、憲法を厳格に遵守し、 その精神を誠実に希求しなければならない。 2 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。 |
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第 55 条 両議院は、 各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、 議員の議席を失はせるには、 出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。 | 第 55 条 国民は、国民委員会に、 第 44 条第 1 項に反している議員に対して、 資格審査請求を行なうことができる。資格審査請求の要件は、 法律でこれを定める。 2 第 1 項で、 違反していると判明した議員については、憲法裁判所は、 その議員の資格に関する争訟を裁判する。 |
改正前 | 改正後 |
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第 58 条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。 2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。 |
第 58 条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。 2 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、国民委員会の裁断を必要とする。 |
法案に関する審議は、通常国会や臨時国会など区別�ずに年中行なうべきであって、 国民と同じように、土・日および祝祭日を除き国会は開催するべきである。 首相の外交日程が取れないという理由で国会を開催しないなどは論外であり、 それなら関連する閣僚が答弁すれば良いだけのことだ、 部門毎に大臣がいるのはそのためだろう。 したがって第 52 条は表14[議会(第 52 条)]に変更する。
改正前 | 改正後 |
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第 52 条 国会の常会は、毎年一回これを召集する。 | 第 52 条 国会は特別な事情の無い限り、 毎年 4 月 1 日に招集され国民の休日および祝祭日を除き、 翌年の 3 月 31 日まで常時開かれる。 |
改正前 | 改正後 |
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第 53 条 内閣は、 国会の臨時会の召集を決定することができる。 いづれかの議院の総議員の四分の一以上の要求があれば、内閣は、 その召集を決定しなければならない。 | (削除) |
主要な法律は予算委員会で、その他は各種委員会で議論し、 国会議員は、策定した全ての法案について、 国民に公開の場で議論しなければならない。そして、 それらの議論を全ての国民に理解してもらう必要がある。このためには、 全ての委員会をライブ中継することはもちろん、 それらを録画して無料でオンデマンド配信できるような仕組みが必要だ。 現在、衆参両院では、委員会はウェッブ上で公開され、 議事の内容は検索・閲覧できるようになっているが、 多忙な勤労者や様々な事情でインターネットにアクセスできない者は排除される。 そもそも国民にわからないように霞ヶ関用語でやりとりされる内容など、 到底知るすべもない。 全ての法案に関して国民にわかりやすく解説する番組や、 その法案が政権公約のどの部分にあたり、 政権公約の何パーセントが実現されたのかを、 その都度解説するような番組を、テレビを含む多様なメディアで配信することが必要だ。 このような取り組みは、本来公共放送で行うべきことであるが、 日本の公共放送を自認する NHK は、 そのほとんどの時間をバラエティやドラマなどの遊興・娯楽番組に充てている。 NHK は即時解散すべきである。そして、新たに国民委員会の下で、 真の公共放送を行なう組織を作るべきだ。 なぜ NHK のような擬い物の公共放送が許されているのか。その理由は、 憲法に「公共」というものの定義が明記されていないからだ。「公共」とは、 国民の自由と基本的人権を守るために支援する意思のことを指すのであって、 公権力の及ぶ範囲を拡張して国民を排除することではない。
日本政府は、 中東等の紛争地帯で取材活動をするジャーナリストがテロ組織に監禁され、 身の代金を要求される度に、 「テロ組織との取り引きは行なわない」として常に彼等を見殺しにする。 だが、紛争地域からの情報は国家の判断を決定する極めて重要なものなのだ。 日本国政府は、国際紛争の是非を決定する際には常に欧米の側に立つ。 そして一方的に欧米側の情報を流す。 しかし、 真実というものは対立する双方の側の情報があって初めて明るみになるものだ。 欧米側の言う「テロ組織」は「テロ組織」からすればレジスタンスであり、 欧米は侵略国家となる。 「テロ組織」の言行について直接見聞きするということは、 紛争の平和的解決にとって極めて重要な行為である。 生死を賭けて取材活動するジャーナリストには最も敬意を払わなければなない。 彼等は国家の平和と安定に寄与する重要な役割を果しており、 まさに公共の福祉にあたる。 第 12 条で唐突に「公共の福祉」が表記されているが、 ここで用いられている「公共」は、 「自由」の対極として用いられている。 「公共」は「自由」の対立概念であってはならない。 そもそも、 「自由」には、 個人の身勝手な自由も含まれるという解釈から、 権力側に自由を規制する根拠を与えている。 他方、ヘイトスピーチは言論の自由に含まれるという国会議員がいる。 彼等には、自由には他人の立場を考慮する意識が含まれるという常識がない。 これらの非常識な議員が存在する以上、やはり、自由を規定する条文が必要だ。 「自由」、「公共」、 「公共の福祉」を新たに規定する条文(第 11-1 条)を追加する(表16[自由、公共及び公共の福祉(第 11-1 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 11-1 条 自由とは、 自己および他者が自らの幸福を追求する意思であり、 自己に対する謙虚さ、 及び他者に対する敬意を伴なうものでなければならない。 2 公共とは、 国民の自由と基本的人権を守るために支援する意思のことを指す。 3 公共の自己犠牲と献身は、 最高の社会的美徳とされなければならない。 4 公共の福祉とは、 第 3 項で規定される社会的美徳の実践を指す。 |
改正前 | 改正後 |
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第 12 条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は、 これを濫用してはならないのであつて、常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 | 第 12 条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、国民は常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。 |
改正前 | 改正後 |
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第 13 条 すべて国民は、個人として尊重される。生命、 自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 | 第 13 条 すべて国民は、個人として尊重される。生命及び自由に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。 |
政党政治は既に破綻している。 現行の内閣は単なる政党の利益供与機関に過ぎない。 行政は完全に政党の私物と化し、 政党内で決めたことを内閣で閣議決定するなどという愚行を重ね、 堂々と政府与党一体となって行政を行なうという憲法違反を犯している。 今や、政党は、個人を持たない議員の単なる寄せ集めに過ぎない。 政党は、党議拘束という制度で議員個人の人権を無視し、 自国の政策理念も語れない政治家を次々と生み出している。 これらの政治家に議員の資格はない。第 49 条、第 50 条および第 51 条は、 公正な選挙で選ばれた議員は、 確固とした理念と倫理観を持つ自律した個人であることを前提としている。 これらの条項は、現実に照らせば全て廃止すべきであるが、 立法府の自立を保証するものでもある。まず、 議員の自由および責任を明記した条文(第 48-1 条)を加える(表19[議員の自由及び責任(第 48-1 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 48-1 条 議員は個人として自由であり、 演説、討論又は表決について、いかなる政党、 団体からの制約も受けてはならない。 2 議員は、第 44 条第 1 項を遵守し、 第 11-1 条第 4 項で規定される公共の福祉を立法化する責務を負う。 |
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第 49 条 両議院の議員は、法律の定めるところにより、 国庫から相当額の歳費を受ける。 | 第 49 条 両議院の議員は、第 44 条 第 1 項の職務遂行に必要な、 最低限度の歳費を国庫から受けることができる。なお歳費については法律で定める。 |
内閣は、政党から切り離して独立しなければならない。政権与党などという、 政党と内閣が一体として国家を運営すること自体が憲法違反である。 政党の専門部会の決定が、 内閣の政策になるなどということはあってはならないのであって、 選挙対策のための政策施行などは愚の骨頂である。そもそも、 総理大臣は党首と兼任してはいけない。 政権与党の存在を前提としている党首討論などは無意味であり、 国政に関わる全ての事柄は、国会でのみで議論するのが当然だ。 このような基本的な誤認は、 内閣の使命と行政の独立が明記されていないからだ。よって、 これを明記した第 65-1 条を追加する(表21[内閣の使命と独立性(第 65-1 条)]参照)。
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(存在せず) | 第 65-1 条 内閣は、 日本国民のための政策を、 策定・施行することを使命としなければならない。 2 内閣は、 唯一国会との議論を経て政策を決定するのであって、 その他は、国会および裁判所とは、 完全に独立した関係でなければならない。 3 内閣は、その行政権の行使については、 いかなる政党、団体からの制約も受けてはならない。 |
現在に至るまで、日本の内閣は、 日本国民のために独自の政策を策定したことはない。全ては、 国家権力の自己保身のため、官僚の書いたシナリオ通りに進められてきた。 内閣の閣僚は、その地位と名誉にのみに拘泥し、無能な大臣と、 それを金と権力で束ねる飾りの総理大臣で構成されてきた。官僚は、 法案の策定から国会での閣僚の答弁に至るまで、 法制度に関わる全ての文書を書き、法の発起から成立までのレールに、 大臣をうまく載せる段取りまでをも腐心せねばならない始末だ。日本政府は、 内閣が組織する表の政府と、官僚が実質的に運営する裏の政府の、 二重構造になっているのがその実態だ。裏の政府は、 組閣をやり直して内閣を変更しても、政権交代して新たな内閣を組閣しても、 変更なく続いてきた。驚くべきことに、それは、 明治維新以来永々と継続されてきた。その弊害は、あらゆる場面で見られる。 自らの利権を永続的かつ合法的に確保するための天下りシステムの構築、 米国の占領を合法化するための法制化、国民の自立を削ぎ、 専ら皇国史観に誘うようにする教育制度改革、そして、最終的に、 これらを根本的に正当化するための日本国憲法の改変だ。
現行の官僚システムは根底から廃棄しなければならない。そして、 第 65-1 条の第 1 項で規定された使命を果すためには、 内閣が、独自に政策決定を支援するためのシンクタンンクを持つ必要がある。 まず、内閣に政策企画局を設置する。 そして、全ての政策の立案・立法事務は内閣政策企画局が行ない、 従来の官僚組織は内閣政策企画局の下部組織とする。 内閣政策企画局は内閣が独自に作り、その成員は、 法案の表決を除き、議員と同等の身分を有するものとし、 政権交代と共に刷新することとする。つまり、 内閣政策企画局員は任期付きの公務員となる。新たに、 内閣政策企画局の設置とその権限を定めた第 65-2 条を追加する(表22[内閣政策企画局の設置とその権限(第 65-2 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 65-2 条 内閣政策企画局は、 内閣の企画する全ての政策の立案・立法事務を行なう。 内閣政策企画局の組織は法律でこれを定める。 2 内閣総理大臣は、 内閣政策企画局の設置及び解散の権限を有する。 3 内閣政策企画局の成員は、 内閣総理大臣又はその他の国務大臣が任命し、国民委員会が承認する。 4 内閣政策企画局の成員は、 議会及び委員会における法案の採決を除き、 国会議員と同等の権利を有する。 5 内閣総理大臣又はその他の国務大臣は、 任意に内閣政策企画局の成員を罷免することができる。 6 内閣政策企画局は、 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理する |
改正前 | 改正後 |
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第 73 条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
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第 73 条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。
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そして、内閣の組織に内閣政策企画局を加え、 第 66 条を表24[内閣の組織と責任(第 66 条)]に変更する。
改正前 | 改正後 |
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第 66 条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。 2 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。 3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。 |
第 66 条 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣と、 内閣政策企画局でこれを組織する。 2 内閣総理大臣その他の国務大臣、 及び内閣政策企画局員は、文民でなければならない。 3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。 |
総理大臣の最優先事項は選挙だ。選挙で勝ってこそ政権を掌握でき、 国政を担うことができる。任期 4 年を安定して確保するには、 衆参両院で絶対安定多数の議席を確保しなければならない。 これには相当な資金と権力基盤が必要となる。大企業の権益を保証し、 占領国である米国への献納を行ない、 農林水産・医療などの各種の利益団体との調整を図り、そして、 彼等の満足する最大公約数な政策の実行を約束する。そこには、 微塵も個々の国民のことなど考慮されない。だが、 選挙に勝つには一般国民の票が必要になる。政治家とは、 国民をいかに騙して選挙に勝つかという手腕を有する人種のことを言う。
総理大臣の意識・権能を根底から変えなければならない。それには、 現行の、国会の内閣不信任権と総理大臣の国会解散権の対立による議会内民主制ではなく、 総理大臣は基本的に任期固定で仕事をし、内閣不信任は国民委員会で審議し、 可決した後、国民の審査に委ねるという直接民主制にすべきである。 不信任決議と、 解散および総辞職に関する第 69 条を表25[不信任決議と総辞職(第 69 条)]に変更する。
改正前 | 改正後 |
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第 69 条 内閣は、 衆議院で不信任の決議案を可決し、 又は信任の決議案を否決したときは、 十日以内に衆議院が解散されない限り、 総辞職をしなければならない。 | 第 69 条 国民は、 国民委員会に内閣不信任を申請することができる。 内閣不信任の申請要件については法律で定める。 2 国民委員会は、 内閣不信任を受理してから 30 日以内に、 その可否を判断しなければならない。 3 国民委員会が、 内閣不信任を可とした場合には、 30 日以内に国民審査を行なわなければならない。 4 内閣不信任に関する国民審査は、 過半数で成立するものとする。 5 第 4 項で、 内閣不信任が成立した場合には、 内閣は総辞職しなければならない。 |
衆議院議員の任期は原則として 4 年であるが、 第 55 条により議員の資格を消失した場合には、 任期満了までに消失する(表26[衆議院議員の任期(第 45 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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第 45 条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、衆議院解散の場合には、その期間満了前に終了する。 | 第 45 条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、第 55 条により議員の資格を消失した場合には、その期間満了前に終了する。 |
衆議院の解散は、衆議院議員の任期に合わせて行なうこととし、 第 54 条を表27[総選挙及び緊急集会(第 54 条)]に変更する。
改正前 | 改正後 |
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第 54 条 衆議院が解散されたときは、 解散の日から四十日以内に、衆議院議員の総選挙を行ひ、 その選挙の日から三十日以内に、 国会を召集しなければならない。 2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。 3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。 |
第 54 条 衆議院は 4 年毎に解散され、 議会の開始日から四十日以前に、衆議院議員の総選挙を行ひ、 議会の開始日に、議会を招集しなければならない。 2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、参議院の緊急集会を求めることができる。 3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。 |
現行の憲法では、第 4 条第 2 項で「天皇の権能行使の委任」として、 国会の召集、衆議院の解散、国務大臣や官吏の任免などの、 国政に関わることを内閣に代って天皇が代行する構成になっている。 これは大日本帝国憲法の天皇主権の残存であり、 撤廃する(表28[天皇の権能(第 4 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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第 4 条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。 2 天皇は、法律の定めるところにより、 その国事に関する行為を委任することができる。 |
第 4 条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、国政に関する権能を有しない。 |
改正前 | 改正後 |
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第 6 条 天皇は、国会の指名に基いて、 内閣総理大臣を任命する。 2 天皇は、内閣の指名に基いて、 最高裁判所の長たる裁判官を任命する。 |
(削除) |
改正前 | 改正後 |
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第 7 条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
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第 7 条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、左の国事に関する行為を行ふ。
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司法は独裁への道を阻む最後の砦とならねばならない。それにはまず、 裁判官自らがこのことを理解し、その覚悟と使命を持つことだ。 日本の戦後は、司法は、率先して、 憲法解釈という詭弁で米国の占領統治を合法化させ、 数々の公害訴訟裁判では加害者である企業寄りの判決で国民の基本的人権を奪ってきた。 日本では、司法は「最後の砦」となるどころか、 憲法という「最後の砦」に風穴を空け、いかに崩すかに苦心してきた。 裁判官は、政府によってその人事を掌握され、 常に行政寄りの判断を強いられてきた。そこには、 微塵も国民にための自己犠牲や献身の姿勢はない。
今、法律家を目指す者は、分厚い法律書を暗記し、 その上に膨大な数の様々な判例を覚えなければならない。そして、さらに、 その応用問題を解く訓練を経て、やっと司法試験の難関を突破できる。 彼等は、検事や弁護士となり、法律のプロを自認する。だが、 司法の使命を理解していない法律家はマシンと同じだ。 現在、コンピュータの処理能力は飛躍的に伸び、 莫大な記憶容量も安価に手に入る。 AI 的なアルゴリズムを取り入れたエキスパートシステムは、 既に、あらゆる分野の専門家の代替となり得るレベルにある。 司法の使命感のない法律家は、法曹資格を剥奪し、 これらのエキスパートシステムに替えるべきだ。
第 6 章の司法の章の冒頭には、まず、 司法の使命と裁判官の良心について明記し、それに違反した裁判官の訴追を、 国民委員会が行えるようにする(表31[司法の使命と裁判官の良心(第 75-1 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 75-1 条 司法は、 立法・行政が機能しなくなった時に、国民を救う最後の砦となり、 法によってそれを実現することを使命とする。 2 全ての裁判官は、第 1 項で定められた、 司法の使命を果すことを良心としなければならない。 3 国民は、 第 2 項を有しないと判断される裁判官の訴追を、 国民委員会に申請できる。申請要件は法律で定める。 4 国民委員会は、 第 3 項で申請された裁判官の訴追の可否を判断し、 可であれば国会に当該裁判官の弾劾を要求することができる。 |
現行の司法制度は、根本的に、 憲法裁判所を中核とする組織に変えなければならない。まず、 裁判所の組織を明記した第 75-2 条を追加する(表32[裁判所の組織(第 75-2 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 75-2 条 司法権は、 裁判官に委ねられる。司法権は、憲法裁判所、 第 79 条で定める最高裁判所及びその下級裁判所によって行使される。 2 特別裁判所は、これを設置することができない。行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。 |
憲法裁判所は、国・地方自治体・個人の、憲法に関わる最終的な係争全てを取り扱う。 その憲法裁判所の権限を、第 75-3 条で定める(表33[憲法裁判所の権限(第 75-3 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 75-3 条 憲法裁判所は、
左記の事項について裁判する。
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憲法裁判所は、基本的に、国民から任意に選ばれた裁判員による陪審制とする。 その構成員は、全て国民委員会で指名された者から成り、国民の審査で選ばれる。 これら憲法裁判所の構成を第 75-4 条で定める(表34[憲法裁判所の構成(第 75-4 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 75-4 条 憲法裁判所は、 国民から任意に選ばれた、法律の定める員数の陪審員、 裁判官及びその他の構成員で組織する。 2 憲法裁判所の構成員は、 国民委員会で任命され、四年おきに国民投票で国民の審査に付す。 3 憲法裁判所の構成員は、衆参両議院、 日本国政府、 又はこれらに相当する地方自治体の機関に所属してはならない。 |
裁判官は、自らの独立と同時に、裁判官の人事権の独立も保証する。第 76 条は、 裁判官の独立についてのみの記述に変更し、 第 2 項は第 75-2 条第 2 項に移項し、第 3 項の良心は、 第 75-1 条の第 2 項に基づくものとして、 新たに第 1 項で定める(表35[裁判官の独立(第 76 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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第 76 条 すべて司法権は、 最高裁判所及び法律の定めるところにより設置する下級裁判所に属する。 2 特別裁判所は、 これを設置することができない。行政機関は、 終審として裁判を行ふことができない。 3 すべて裁判官は、その良心に従ひ独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。 |
第 76 条 すべて裁判官は、第 75-1 条の第 2 項で定める良心に従ひ、独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。 2 裁判官は、国民委員会による採決を経て、 国民の審査によらなければ、その意に反して、任期満了前に罷免し、 長期もしくは一時的に停職し、 又は転任もしくは退職させることができない。 |
最高裁判所の全ての裁判官の任命は国民委員会が行ない、国民投票で審査する。 その裁判官の任期は 4 年とし、4 年毎に審査する。したがって、 第 79 条および第 80 条は、それぞれ、 表36[最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査(第 79 条)]および表37[下級裁判所の裁判官(第 80 条)]に変更する。
改正前 | 改正後 |
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第 79 条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、その長たる裁判官以外の裁判官は、内閣でこれを任命する。 2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際国民の審査に付し、その後十年を経過した後初めて行はれる衆議院議員総選挙の際更に審査に付し、 その後も同様とする。 3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。 4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。 5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。 6 最高裁判所の裁�官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。 |
第 79 条 最高裁判所は、その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、すべての裁判官は、国民委員会でこれを任命する。 2 最高裁判所の裁判官の任命は、その任命後直ちに国民投票で国民の審査に付し、その後四年おきに同様の審査に付すこととする。 3 前項の場合において、投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、罷免される。 4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。 5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。 6 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。この報酬は、在任中、これを減額することができない。 |
改正前 | 改正後 |
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第 80 条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、内閣でこれを任命する。その裁判官は、任期を十年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。 | 第 80 条 下級裁判所の裁判官は、最高裁判所の指名した者の名簿によつて、国民委員会でこれを任命する。その裁判官は、任期を四年とし、再任されることができる。但し、法律の定める年齢に達した時には退官する。 |
最高裁判所は、憲法裁判所で取り扱う争訟以外の裁判に限定される。 したがって、第 81 条は表38[最高裁判所の法令審査権(第 81 条)]に変更する。
改正前 | 改正後 |
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第 81 条 最高裁判所は、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。 | 第 81 条 最高裁判所は、第 75-3 条の憲法争訟に関する裁判を除き、一切の法律、命令、規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。 |
憲法は唯一国民が決定できるものであり、 その改変は国民の意思によってのみ行なうことができる。 憲法の改正は現行の第 96 条で、 国会議員の三分の二以上の賛成で国会が発議できることになっているが、 国会は憲法の改正に関与すべきではない。そもそも、国会の使命は、 国民のために法律を策定することであり、それは第 44 条でも示したとおり、 憲法の下で厳格に行なわれなければならない。したがって、議員は、 憲法を遵守することこそすれ、 憲法を変更するなどといったことを画策してはいけないのであって、 ましてや憲法改正を掲げた政党など到底許されるべきてはない。 したがって、国民委員会および憲法裁判所を除く全ての機関は、 憲法改正に関する審議に関わることはできない。 憲法改正は国民の要請により国民委員会で協議した後、 憲法裁判所で審議し了解を得て、 国民審査にかけるように第 96 条を変更する(表39[憲法改正の発議、国民投票及び公布(第 96 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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第 96 条 この憲法の改正は、各議院の総議員の三分の二以上の賛成で、国会が、これを発議し、国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、特別の国民投票又は国会の定める選挙の際行はれる投票において、その過半数の賛成を必要とする。 2 憲法改正について前項の承認を経たときは、天皇は、国民の名で、この憲法と一体を成すものとして、直ちにこれを公布する。 |
第 96 条 この憲法の改正は、国民の要請があったときにのみ発議される。 要請の要件は法律で定める。 2 国民の要請は、 国民委員会の憲法改正審査会で審議され、 当該委員会の全会一致で了承された後、 憲法裁判所で審議され、 可と判決された後はじめて発議される。 3 前項により発議された改正案は、 直ちに国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、 特別の国民投票において、 その過半数の賛成を必要とする。 4 憲法改正について前項の承認を経たときは、この憲法と一体を成すものとして、直ちに公布される。 5 憲法改正の対象は、第 95-1 条で規定した条文を除く。 |
一方、絶対安定多数を取った政権は、 全ての委員会において、委員長以下全てのポストを得ることができる。 これは、全ての審議において、 政権側の策定した法律を無条件に通過させることができることを意味する。 委員会での議論は無意味となり、完全に国会は形骸化する。 このような状況では憲法さえも意味を成さなくなる。 憲法違反の法律が堂々と国会で可決・成立され、 憲法違反に加担した与党の議員は、 あたかも国民を代表するかのように、 開き直ってその正当性を主張する。 さらに、彼等は言う、「そもそも、現憲法はアメリカの作ったもので、 日本人のものではない」と。だか、日本国憲法は、 マグナカルタに始まる、 個人の自由と権利の獲得の歴史において、 夥しい数の民衆の犠牲の上に作られていることを彼等は理解していない。 憲法違反を犯した議員を処罰する厳しい規定が必要だ。 何故、それほどまでに厳しいかと思い知らせることによって、 立憲主義の重要性を理解させることが必要なのだ。 憲法違反を犯した議員に対する処罰規定を、 第 99 条に追加する(表40[憲法尊重擁護の義務(第 99 条)]参照)。
改正前 | 改正後 |
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第 99 条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 | 第 99 条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。 2 過去において、 憲法違反とされた法律の策定・成立に加担した議員は、 直ちにその資格を消失する。 3 前項に該当する議員の所属する全ての政治団体は、 恒久的にその活動を停止する。 |
代議制民主主義には独裁政治を生むという基本的欠陥がある。 独裁政治に至らないようにするには、法によって阻止するしかない。だが、 フランス革命から、今日に至るまで、民主主義は、 度重なる独裁を止められなかった。その原因は、代議制民主主義では、 選挙によって選ばれた政治家に過大な権力を与えてしまうことで、 三権分立できず、政府に全ての権力が集中してしまうからだ。 悪意を持った権力者が、民衆を騙して、いったん権力を掌握してしまえば、 全てが手に入るのだ。このため、欧米の民主主義国の多くは、その憲法に、 抵抗権を明記している。つまり、万が一独裁に至ったら、 国民が実力行使によって独裁を打破する権利を保証しているのだ。
「第 8-1 章 基本的普遍価値と抵抗権」を追加する。そして、平和主義、基本 的人権および基本的自由に関する条文の削除および変更の禁止を、 恒久的に規定し(表41[基本的普遍価値に対する恒久的な不変性(第 95-1 条)]参照)、
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 95-1 条 平和主義、 基本的人権及び基本的自由に関する事項は、 人類が獲得し得た最高の価値であり、 これらは永久に変更してはならない。したがって、本条項、第 9 条、 第 11 条、第 18 条、第 19 条、第 20 条、第 21 条、第 22 条、 第 25 条及び第 31 条は、 一切の削除および改変を行なってはいけない。 2 第 1 項で指定した条項の効果を停止、 及び低減させうる条文は追加してはいけない。 |
改正前 | 改正後 |
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(存在せず) | 第 95-2 条 すべての日本人は、 第 95-1 条第 1 項で定められた、 基本的普遍価値を除去しようと企てる何人に対しても、 他の救済手段が存在しないときは、抵抗権を有する。 |
公開市民憲法の会
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