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公開日本国市民憲法(Open Constitution for Citizen of Japan)

憲法改正案(全文)

目次

 

日本国憲法

 

 日本国民は、われら及び正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し、われらとわれらの子孫のために、諸国民との協和による成果と、わが国全土にわたつて自由のもたらす恵沢を確保し、政府の行為によつて再び戦争の惨禍が起ることのないやうにすることを決意し、ここに主権が国民に存することを宣言し、この憲法を確定する。そもそも国政は、国民の厳粛な信託によるものであつて、その権威は国民に由来し、その権力は国民の代表者がこれを行使し、その福利は国民がこれを享受する。これは人類普遍の原理であり、この憲法は、かかる原理に基くものである。われらは、これに反する一切の憲法、法令及び詔勅を排除する。

 日本国民は、恒久の平和を念願し、人間相互の関係を支配する崇高な理想を深く自覚するのであつて、平和を愛する諸国民の公正と信義に信頼して、われらの安全と生存を保持しようと決意した。われらは、平和を維持し、専制と隷従、圧迫と偏狭を地上から永遠に除去しようと努めてゐる国際社会において、名誉ある地位を占めたいと思ふ。われらは、全世界の国民が、ひとしく恐怖と欠乏から免かれ、平和のうちに生存する権利を有することを確認する。

 われらは、いづれの国家も、自国のことのみに専念して他国を無視してはならないのであつて、政治道徳の法則は、普遍的なものであり、この法則に従ふことは、自国の主権を維持し、他国と対等関係に立たうとする各国の責務であると信ずる。

 日本国民は、国家の名誉にかけ、全力をあげてこの崇高な理想と目的を達成することを誓ふ。

 

第 1 章 天皇

[天皇の地位と主権在民]

第 1 条 天皇は、日本国の象徴であり日本国民統合の象徴であつて、 この地位は、主権の存する日本国民の総意に基く。

 

[皇位の世襲]

第 2 条 皇位は、世襲のものであつて、 国会の議決した皇室典範の定めるところにより、これを継承する。

 

[内閣の助言と承認及び責任]

第 3 条 天皇の国事に関するすべての行為には、 内閣の助言と承認を必要とし、内閣が、その責任を負ふ。

 

[天皇の権能]

第 4 条 天皇は、この憲法の定める国事に関する行為のみを行ひ、 国政に関する権能を有しない。

 

[摂政]

第 5 条 皇室典範の定めるところにより摂政を置くときは、摂政は、 天皇の名でその国事に関する行為を行ふ。この場合には、 前条第一項の規定を準用する。

 

[天皇の国事行為]

第 7 条 天皇は、内閣の助言と承認により、国民のために、 左の国事に関する行為を行ふ。

一 栄典を授与すること。
二 外国の大使及び公使を接受すること。
三 儀式を行ふこと。

 

[財産授受の制限]

第 8 条 皇室に財産を譲り渡し、又は皇室が、 財産を譲り受け、若しくは賜与することは、 国会の議決に基かなければならない。

 

第 2 章 戦争の放棄

[戦争の放棄と戦力及び交戦権の否認]

第 9 条 日本国民は、国家主義と決別し、 抑止力による力の秩序ではなく、 対話と敬愛の実行で、 国際社会の平和と安定に積極的に貢献することを決意する。

2 日本国民はまた、 正義と秩序を基調とする国際平和を誠実に希求し、 国権の発動たる戦争と、武力による威嚇又は武力の行使は、 永久にこれを放棄する。

3 前項の目的を達するため、陸海空軍その他の戦力は、 これを保持しない。国の交戦権は、これを認めない。

 

第 3 章 国民の権利及び義務

[国民たる要件]

第 10 条 日本国民たる要件は、法律でこれを定める。

 

[基本的人権]

第 11 条 国民は、 すべての基本的人権の享有を妨げられない。 この憲法が国民に保障する基本的人権は、 侵すことのできない永久の権利として、 現在及び将来の国民に与へられる。

 

[自由、公共及び公共の福祉]

第 11-1 条 自由とは、 自己および他者が自らの幸福を追求する意思であり、 自己に対する謙虚さ、 及び他者に対する敬意を伴なうものでなければならない。

2 公共とは、 国民の自由と基本的人権を守るために支援する意思のことを指す。

3 公共の自己犠牲と献身は、 最高の社会的美徳とされなければならない。

4 公共の福祉とは、 第 3 項で規定される社会的美徳の実践を指す。

 

[自由及び権利の保持義務と公共福祉性]

第 12 条 この憲法が国民に保障する自由及び権利は、 国民の不断の努力によつて、これを保持しなければならない。又、 国民は常に公共の福祉のためにこれを利用する責任を負ふ。

 

[個人の尊重と公共の福祉]

第 13 条 すべて国民は、個人として尊重される。 生命及び自由に対する国民の権利については、 公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、 最大の尊重を必要とする。

 

[平等原則、貴族制度の否認及び栄典の限界]

第 14 条 すべて国民は、法の下に平等であつて、人種、 信条、性別、社会的身分又は門地により、政治的、 経済的又は社会的関係において、差別されない。

2 華族その他の貴族の制度は、これを認めない。

3 栄誉、勲章その他の栄典の授与は、いかなる特権も伴はない。 栄典の授与は、現にこれを有し、 又は将来これを受ける者の一代に限り、その効力を有する。

 

[公務員の選定罷免権、公務員の本質、普通選挙の保障及び投票秘密の保障]

第 15 条 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、 国民固有の権利である。

2 すべて公務員は、全体の奉仕者であつて、一部の奉仕者ではない。

3 公務員の選挙については、成年者による普通選挙を保障する。

4 すべて選挙における投票の秘密は、これを侵してはならない。 選挙人は、その選択に関し公的にも私的にも責任を問はれない。

 

[請願権]

第 16 条 何人も、損害の救済、公務員の罷免、法律、 命令又は規則の制定、廃止又は改正その他の事項に関し、 平穏に請願する権利を有し、何人も、 かかる請願をしたためにいかなる差別待遇も受けない。

 

[公務員の不法行為による損害の賠償]

第 17 条 何人も、公務員の不法行為により、 損害を受けたときは、法律の定めるところにより、国又は公共団体に、 その賠償を求めることができる。

 

[奴隷的拘束及び苦役の禁止]

第 18 条 何人も、いかなる奴隷的拘束も受けない。又、 犯罪に因る処罰の場合を除いては、 その意に反する苦役に服させられない。

 

[思想及び良心の自由]

第 19 条 思想及び良心の自由は、これを侵してはならない。

 

[信教の自由]

第 20 条 信教の自由は、何人に対してもこれを保障する。 いかなる宗教団体も、国から特権を受け、 又は政治上の権力を行使してはならない。

2 何人も、宗教上の行為、祝典、 儀式又は行事に参加することを強制されない。

3 国及びその機関は、 宗教教育その他いかなる宗教的活動もしてはならない。

 

[集会、結社及び表現の自由と通信秘密の保護]

第 21 条 集会、結社及び言論、 出版その他一切の表現の自由は、これを保障する。

2 検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、 これを侵してはならない。

 

[居住、移転、職業選択、外国移住及び国籍離脱の自由]

第 22 条 何人も、公共の福祉に反しない限り、居住、 移転及び職業選択の自由を有する。

2 何人も、外国に移住し、又は国籍を離脱する自由を侵されない。

 

[学問の自由]

第 23 条 学問の自由は、これを保障する。

 

[家族関係における個人の尊厳と両性の平等]

第 24 条 婚姻は、両性の合意のみに基いて成立し、 夫婦が同等の権利を有することを基本として、相互の協力により、 維持されなければならない。

2 配偶者の選択、財産権、相続、住居の選定、 離婚並びに婚姻及び家族に関するその他の事項に関しては、法律は、 個人の尊厳と両性の本質的平等に立脚して、 制定されなければならない。

 

[生存権及び国民生活の社会的進歩向上に努める国の義務]

第 25 条 すべて国民は、 健康で文化的な最低限度の生活を営む権利を有する。

2 国は、すべての生活部面について、社会福祉、 社会保障及び公衆衛生の向上及び増進に努めなければならない。

 

[教育を受ける権利と受けさせる義務]

第 26 条 すべて国民は、法律の定めるところにより、 その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。

2 すべて国民は、法律の定めるところにより、 その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、 これを無償とする。

 

[勤労の権利と義務、勤労条件の基準及び児童酷使の禁止]

第 27 条 すべて国民は、勤労の権利を有し、義務を負ふ。

2 賃金、就業時間、休息その他の勤労条件に関する基準は、 法律でこれを定める。

3 児童は、これを酷使してはならない。

 

[勤労者の団結権及び団体行動権]

第 28 条  勤労者の団結する権利及び団体交渉その他の団体行動をする権利は、 これを保障する。

 

[財産権]

第 29 条 財産権は、これを侵してはならない。

2 財産権の内容は、公共の福祉に適合するやうに、 法律でこれを定める。

3 私有財産は、正当な補償の下に、 これを公共のために用ひることができる。

 

[納税の義務]

第 30 条 国民は、法律の定めるところにより、納税の義務を負ふ。

 

[生命及び自由の保障と科刑の制約]

第 31 条 何人も、法律の定める手続によらなければ、 その生命若しくは自由を奪はれ、又はその他の刑罰を科せられない。

 

[裁判を受ける権利]

第 32 条 何人も、 裁判所において裁判を受ける権利を奪はれない。

 

[逮捕の制約]

第 33 条 何人も、現行犯として逮捕される場合を除いては、 権限を有する司法官憲が発し、 且つ理由となつてゐる犯罪を明示する令状によらなければ、 逮捕されない。

 

[抑留及び拘禁の制約]

第 34 条 何人も、理由を直ちに告げられ、且つ、 直ちに弁護人に依頼する権利を与へられなければ、 抑留又は拘禁されない。又、何人も、正当な理由がなければ、 拘禁されず、要求があれば、その理由は、 直ちに本人及びその弁護人の出席する公開の法廷で示されなければならない。

 

[侵入、捜索及び押収の制約]

第 35 条 何人も、その住居、書類及び所持品について、 侵入、捜索及び押収を受けることのない権利は、 第三十三条の場合を除いては、正当な理由に基いて発せられ、 且つ捜索する場所及び押収する物を明示する令状がなければ、 侵されない。

2 捜索又は押収は、 権限を有する司法官憲が発する各別の令状により、これを行ふ。

 

[拷問及び残虐な刑罰の禁止]

第 36 条 公務員による拷問及び残虐な刑罰は、 絶対にこれを禁ずる。

 

[刑事被告人の権利]

第 37 条 すべて刑事事件においては、被告人は、 公平な裁判所の迅速な公開裁判を受ける権利を有する。

2 刑事被告人は、 すべての証人に対して審問する機会を充分に与へられ、又、 公費で自己のために強制的手続により証人を求める権利を有する。

3 刑事被告人は、いかなる場合にも、 資格を有する弁護人を依頼することができる。 被告人が自らこれを依頼することができないときは、 国でこれを附する。

 

[自白強要の禁止と自白の証拠能力の限界]

第 38 条 何人も、自己に不利益な供述を強要されない。

2 強制、 拷問若しくは脅迫による自白又は不当に長く抑留若しくは拘禁された後の自白は、 これを証拠とすることができない。

3 何人も、自己に不利益な唯一の証拠が本人の自白である場合には、 有罪とされ、又は刑罰を科せられない。

 

[遡及処罰、二重処罰等の禁止]

第 39 条 何人も、 実行の時に適法であつた行為又は既に無罪とされた行為については、 刑事上の責任を問はれない。又、同一の犯罪について、 重ねて刑事上の責任を問はれない。

 

[刑事補償]

第 40 条 何人も、抑留又は拘禁された後、 無罪の裁判を受けたときは、法律の定めるところにより、 国にその補償を求めることができる。

 

第 3-1 章 国民委員会

[国民委員会の設置と国民参加の義務]

第 40-1 条 国民委員会は、主として、 法律の策定及び瑕疵等の判断の根拠となる事実を、 調査・研究するための諮問機関であが、 内閣の策定した予算の施行の可否、 並びに全ての裁判官の指名・訴追・任命も行なう。

2 国民委員会は、 全ての権力から独立した機関であり、内閣、 国会及び国民から要請があれば、 当該事項に関する専門の国民委員会を設置しなければならない。

3 全ての国民は、要請があれば、 上記第 2 項で設置される国民委員会の委員として、 参加する義務を負う。

4 国民委員会は、 国民の中から任意に選ばれた委員で構成される。なお、必要ならば、 当該事項に関する専門的知識を有する者を、 講師として招致することができる。

5 国民委員会は、当該事項別に、 独立に設置され、独自の委員で構成される。

6 国は、 国民委員会の任務遂行に関する全ての原資を補償し、 又国民委員会の委員の身分は、社会的に保証されなければならない。

7 内閣は、法律の策定にあたって、 その内容を諮問する組織は唯一国民委員会のみであって、 この他の専門委員会を設置してはならない。

 

第 4 章 国会

[国会の地位]

第 41 条 国会は、国権の最高機関であつて、 国の唯一の立法機関である。

 

[二院制]

第 42 条 国会は、 衆議院及び参議院の両議院でこれを構成する。

 

[両議院の組織]

第 43 条 両議院は、 全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。

 

[議員及び選挙人の資格]

第 44 条 国会議員は、 国民の厳粛な信託を受けたものと自覚し、憲法を厳格に遵守し、 その精神を誠実に希求しなければならない。

2  両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、 人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、 財産又は収入によつて差別してはならない。

 

[衆議院議員の任期]

第 45 条 衆議院議員の任期は、四年とする。但し、 第 55 条により議員の資格を消失した場合には、 その期間満了前に終了する。

 

[参議院議員の任期]

第 46 条 参議院議員の任期は、六年とし、 三年ごとに議員の半数を改選する。

 

[議員の選挙]

第 47 条 選挙は、 厳格に有権者の数を反映させるものとし、選挙区及び投票の方法は、 厳密にこれに従うものとする

2 投票率が、50 %を下回る場合、 又は議会運営上著しく支障を来すおそれのある場合には、 憲法裁判所は再選挙を行なう指示をすることができる

3 両議院の議員の選挙に関する事項は、 国民委員会の選挙制度専門委員会でこれを定める

 

[両議院議員相互兼職の禁止]

第 48 条 何人も、同時に両議院の議員たることはできない。

 

[議員の自由及び責任]

第 48-1 条 議員は個人として自由であり、 演説、討論又は表決について、いかなる政党、 団体からの制約も受けてはならない。

2 議員は、第 44 条第 1 項を遵守し、 第 11-1 条第 4 項で規定される公共の福祉を立法化する責務を負う。

 

[議員の歳費]

第 49 条 両議院の議員は、 第 44 条 第 1 項の職務遂行に必要な、 最低限度の歳費を国庫から受けることができる。 なお歳費については法律で定める。

 

[議員の不逮捕特権]

第 50 条 両議院の議員は、法律の定める場合を除いては、 国会の会期中逮捕されず、会期前に逮捕された議員は、 その議院の要求があれば、会期中これを釈放しなければならない。

 

[議員の発言表決の無答責]

第 51 条 両議院の議員は、議院で行つた演説、 討論又は表決について、院外で責任を問はれない。

 

[議会]

第 52 条 国会は特別な事情の無い限り、 毎年 4 月 1 日に招集され国民の休日および祝祭日を除き、 翌年の 3 月 31 日まで常時開かれる

 

[総選挙及び緊急集会]

第 54 条 衆議院は 4 年毎に解散され、 議会の開始日から四十日以前に、衆議院議員の総選挙を行ひ、 議会の開始日に、議会を招集しなければならない。

2 衆議院が解散されたときは、参議院は、同時に閉会となる。 但し、内閣は、国に緊急の必要があるときは、 参議院の緊急集会を求めることができる。

3 前項但書の緊急集会において採られた措置は、 臨時のものであつて、次の国会開会の後十日以内に、 衆議院の同意がない場合には、その効力を失ふ。

 

[資格争訟]

第 55 条 国民は、国民委員会に、 第 44 条第 1 項に反している議員に対して、 資格審査請求を行なうことができる。資格審査請求の要件は、 法律でこれを定める。

2 第 1 項で、 違反していると判明した議員については、憲法裁判所は、 その議員の資格に関する争訟を裁判する。

 

[議事の定足数と過半数議決]

第 56 条 全ての議事は、 有権者数に相当する議席数を基準とする多数決で運営する。

2 過半数とは、 (総議員数/投票率)/2 のことであり、 三分の二とは、(総議員数/投票率)×2/3のことである

3 両議院の議事は、この憲法に特別の定のある場合を除いては、 過半数でこれを決し、 可否同数のときは、議長の決するところによる。

 

[会議の公開と会議録]

第 57 条 両議院の会議は、公開とする。但し、 出席議員の三分の二以上の多数で議決したときは、 秘密会を開くことができる。

2 両議院は、各々その会議の記録を保存し、 秘密会の記録の中で特に秘密を要すると認められるもの以外は、 これを公表し、且つ一般に頒布しなければならない。

3 出席議員の五分の一以上の要求があれば、各議員の表決は、 これを会議録に記載しなければならない。

 

[役員の選任及び議院の自律権]

第 58 条 両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。

2 両議院は、 各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規�を定め、又、 院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、 議員を除名するには、 国民委員会の裁断を必要とする。

 

[法律の成立]

第 59 条 法律案は、この憲法に特別の定のある場合を除い ては、両議院で可決したとき法律となる。

2 衆議院で可決し、参議院でこれと異なつた議決をした法律案は、 衆議院で三分の二以上で再び可決したときは、 法律となる。

 

[衆議院の予算先議権及び予算の議決]

第 60 条 予算は、さきに衆議院に提出しなければならない。

2 予算について、参議院で衆議院と異なつた議決をした場合に、 法律の定めるところにより、 両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、又は参議院が、 衆議院の可決した予算を受け取つた後、 国会休会中の期間を除いて三十日以内に、議決しないときは、 衆議院の議決を国会の議決とする。

 

[条約締結の承認]

第 61 条 条約の締結に必要な国会の承認については、 前条第二項の規定を準用する。

 

[議院の国政調査権]

第 62 条 両議院は、各々国政に関する調査を行ひ、 これに関して、 証人の出頭及び証言並びに記録の提出を要求することができる。

 

[国務大臣の出席]

第 63 条 内閣総理大臣その他の国務大臣は、 両議院の一に議席を有すると有しないとにかかはらず、 何時でも議案について発言するため議院に出席することができる。又、 答弁又は説明のため出席を求められたときは、 出席しなければならない。

 

[弾劾裁判所]

第 64 条 国会は、 罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、 両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。

2 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。

 

第 5 章 内閣

[行政権の帰属]

第 65 条 行政権は、内閣に属する。

 

[内閣の使命と独立性]

第 65-1 条 内閣は、 日本国民のための政策を、 策定・施行することを使命としなければならない。

2 内閣は、 唯一国会との議論を経て政策を決定するのであって、 その他は、国会および裁判所とは、 完全に独立した関係でなければならない。

3 内閣は、その行政権の行使については、 いかなる政党、団体からの制約も受けてはならない。

 

[内閣政策企画局の設置とその権限]

第 65-2 条 内閣政策企画局は、 内閣の企画する全ての政策の立案・立法事務を行なう。 内閣政策企画局の組織は法律でこれを定める。

2 内閣総理大臣は、 内閣政策企画局の設置及び解散の権限を有する。

3 内閣政策企画局の成員は、 内閣総理大臣又はその他の国務大臣が任命し、国民委員会が承認する。

4 内閣政策企画局の成員は、 議会及び委員会における法案の採決を除き、 国会議員と同等の権利を有する。

5 内閣総理大臣又はその他の国務大臣は、 任意に内閣政策企画局の成員を罷免することができる。

6 内閣政策企画局は、 法律の定める基準に従ひ、官吏に関する事務を掌理する

 

[内閣の組織と責任]

第 66 条 内閣は、法律の定めるところにより、 その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣と、 内閣政策企画局でこれを組織する。

2 内閣総理大臣その他の国務大臣、 及び内閣政策企画局員は、文民でなければならない。

3 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。

 

[内閣総理大臣の指名]

第 67 条 内閣総理大臣は、 国会議員の中から国会の過半数の議決で、 これを指名する。この指名は、他のすべての案件に先だつて、 これを行ふ。

2 衆議院と参議院とが異なつた指名の議決をした場合に、 法律の定めるところにより、 両議院の協議会を開いても意見が一致しないとき、 又は衆議院が指名の議決をした後、 国会休会中の期間を除いて十日以内に、参議院が、 指名の議決をしないときは、衆議院の議決を国会の議決とする。

 

[国務大臣の任免]

第 68 条 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、 その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。

2 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。

 

[不信任決議と総辞職]

第 69 条 国民は、 国民委員会に内閣不信任を申請することができる。 内閣不信任の申請要件については法律で定める。

2 国民委員会は、 内閣不信任を受理してから 30 日以内に、 その可否を判断しなければならない。

3 国民委員会が、 内閣不信任を可とした場合には、 30 日以内に国民審査を行なわなければならない。

4 内閣不信任に関する国民審査は、 過半数で成立するものとする。

5 第 4 項で、 内閣不信任が成立した場合には、 内閣は総辞職しなければならない。

 

[内閣総理大臣の欠缺又は総選挙施行による総辞職]

第 70 条 内閣総理大臣が欠けたとき、 又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の招集があつたときは、 内閣は、総辞職をしなければならない。

 

[総辞職後の職務続行]

第 71 条 前二条の場合には、内閣は、 あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。

 

[内閣総理大臣の職務権限]

第 72 条 内閣総理大臣は、 内閣を代表して議案を国会に提出し、 一般国務及び外交関係について国会に報告し、 並びに行政各部を指揮監督する。

 

[内閣の職務権限]

第 73 条 内閣は、他の一般行政事務の外、左の事務を行ふ。

一 法律を誠実に執行し、国務を総理すること。
二 外交関係を処理すること。
三 条約を締結すること。但し、事前に、時宜によつては事後に、国会の承認を経ることを必要とする。
四 法律の定める基準に従ひ、内閣企画局員に関する事務を掌理すること。
五 予算を作成して国会に提出すること。
六 この憲法及び法律の規定を実施するために、政令を制定すること。但し、政令には、特にその法律の委任がある場合を除いては、罰則を設けることができない。
七 大赦、特赦、減刑、刑の執行の免除及び復権を決定すること。

 

[法律及び政令への署名と連署]

第 74 条 法律及び政令には、 すべて主任の国務大臣が署名し、 内閣総理大臣が連署することを必要とする。

 

[国務大臣訴追の制約]

第 75 条 国務大臣は、その在任中、 内閣総理大臣の同意がなければ、訴追されない。但し、これがため、 訴追の権利は、害されない。

 

第 6 章 司法

[司法の使命と裁判官の良心]

第 75-1 条 司法は、 立法・行政が機能しなくなった時に、国民を救う最後の砦となり、 法によってそれを実現することを使命とする。

2 全ての裁判官は、第 1 項で定められた、 司法の使命を果すことを良心としなければならない。

3 国民は、 第 2 項を有しないと判断される裁判官の訴追を、 国民委員会に申請できる。申請要件は法律で定める。

4 国民委員会は、 第 3 項で申請された裁判官の訴追の可否を判断し、 可であれば国会に当該裁判官の弾劾を要求することができる。

 

[裁判所の組織]

第 75-2 条 司法権は、 裁判官に委ねられる。司法権は、憲法裁判所、 第 79 条で定める最高裁判所及びその下級裁判所によって行使される。

2 特別裁判所は、 これを設置することができない。 行政機関は、終審として裁判を行ふことができない。

 

[憲法裁判所の権限]

第 75-3 条 憲法裁判所は、 左記の事項について裁判する。

一 国、 又は本憲法及び国の規則によって、固有の権利を認められた、 その他の関係機関の権利、 及び義務の範囲に関する争訟を契機とする本憲法の解釈。
二 法律、もしくは地方自治体の条例が、 この憲法に形式的および実質的に適合するかどうか、又は、 地方自治体の条例が、 その他の法律と適合するかどうかについての意見の相違、 又は疑義で、国、地方自治体又は、 衆議院又は参議院の三分の一の提起によるもの。
ア 法律が、 第 94 条に適合しているか否かについての意見の相違で、 衆議院又は参議院、 地方自治体又は地方議会の提起によるもの。
三 国および地方自治体の権利義務、 特に、地方自治体による法律の執行、 及び国の監督の遂行の場合の権利義務に関する意見の相違。
四 他に出訴手段が存在しないときの、 国と地方自治体との間、地方自治体と地方自治体との間、 又は一つの地方自治体内部におけるその他の法律上の争訟。
ア 何人も、公権力によって第 11 条第 13 条第 14 条第 15 条第 16 条第 17 条第 18 条第 19 条第 20 条第 21 条第 22 条第 23 条第 24 条第 25 条第 26 条第 27 条第 28 条第 29 条第 31 条第 32 条第 33 条第 34 条第 35 条第 36 条第 37 条第 38 条第 39 条及び第 40 条に含まれる、 自己の権利を侵害されたとの主張によって、 提起することができる憲法訴願。
イ 法律による、 第 95 条の自治権侵害を理由とする、 地方自治体及び地方自治体連合の憲法訴願。
五 本憲法に規定するその他の場合。

2 憲法裁判所は、その他、 法律によって権限を与えられた場合に活動する。

 

[憲法裁判所の構成]

第 75-4 条 憲法裁判所は、 国民から任意に選ばれた、法律の定める員数の陪審員、 裁判官及びその他の構成員で組織する。

2 憲法裁判所の構成員は、 国民委員会で任命され、四年おきに国民投票で国民の審査に付す。

3 憲法裁判所の構成員は、衆参両議院、 日本国政府、 又はこれらに相当する地方自治体の機関に所属してはならない。

 

[裁判官の独立]

第 76 条 すべて裁判官は、 第 75-1 条の第 2 項で定める良心に従ひ、 独立してその職権を行ひ、この憲法及び法律にのみ拘束される。

2 裁判官は、国民委員会による採決を経て、 国民の審査によらなければ、その意に反して、任期満了前に罷免し、 長期もしくは一時的に停職し、 又は転任もしくは退職させることができない。

 

[最高裁判所の規則制定権]

第 77 条 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、 裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、 規則を定める権限を有する。

2 検察官は、最高裁判所の定める規則に従はなければならない。

3 最高裁判所は、下級裁判所に関する規則を定める権限を、 下級裁判所に委任することができる。

 

[裁判官の身分の保障]

第 78 条 裁判官は、裁判により、 心身の故障のために職務を執ることができないと決定された場合を除いては、 公の弾劾によらなければ罷免されない。裁判官の懲戒処分は、 行政機関がこれを行ふことはできない。

 

[最高裁判所の構成及び裁判官任命の国民審査]

第 79 条 最高裁判所は、 その長たる裁判官及び法律の定める員数のその他の裁判官でこれを構成し、 すべての裁判官は、国民委員会でこれを任命する。

2 最高裁判所の裁判官の任命は、 その任命後直ちに国民投票で国民の審査に付し、 その後四年おきに同様の審査に付すこととする。

3 前項の場合において、 投票者の多数が裁判官の罷免を可とするときは、その裁判官は、 罷免される。

4 審査に関する事項は、法律でこれを定める。

5 最高裁判所の裁判官は、法律の定める年齢に達した時に退官する。

6 最高裁判所の裁判官は、すべて定期に相当額の報酬を受ける。 この報酬は、在任中、これを減額することができない。

 

[下級裁判所の裁判官]

第 80 条 下級裁判所の裁判官は、 最高裁判所の指名した者の名簿によつて、 国民委員会でこれを任命する。 その裁判官は、任期を四年とし、 再任されることができる。但し、 法律の定める年齢に達した時には退官する。

 

[最高裁判所の法令審査権]

第 81 条 最高裁判所は、 第 75-3 条の憲法争訟に関する裁判を除き、一切の法律、命令、 規則又は処分が憲法に適合するかしないかを決定する権限を有する終審裁判所である。

 

[対審及び判決の公開]

第 82 条 裁判の対審及び判決は、公開法廷でこれを行ふ。

2 裁判所が、裁判官の全員一致で、 公の秩序又は善良の風俗を害する虞があると決した場合には、 対審は、公開しないでこれを行ふことができる。但し、政治犯罪、 出版に関する犯罪又はこの憲法第三章で保障する国民の権利が問題となつてゐる事件の対審は、 常にこれを公開しなければならない。

 

第 7 章 財政

[財政処理の要件]

第 83 条 国の財政を処理する権限は、国会の議決に基いて、 これを行使しなければならない。

 

 

[課税の要件]

第 84 条 あらたに租税を課し、又は現行の租税を変更するには、 国民委員会の審査を必要とする。

2 あらたな租税は、法律でこれを定める

 

[国費支出及び債務負担の要件]

第 85 条 国費を支出し、又は国が債務を負担するには、 国会の議決に基くことを必要とする。

 

[予算の作成]

第 86 条 内閣は、毎会計年度の予算を作成し、 国民委員会の審査を経た後、国会に提出して、その審議を受け議決を経なければならない。

 

[予備費]

第 87 条 予見し難い予算の不足に充てるため、 国会の議決に基いて予備費を設け、 内閣の責任でこれを支出することができる。

2 すべて予備費の支出については、内閣は、 事後に国会の承諾を得なければならない。

 

[皇室財産及び皇室費用]

第 88 条 すべて皇室財産は、国に属する。 すべて皇室の費用は、 予算に計上して国会の議決を経なければならない。

 

[公の財産の用途制限]

第 89 条 金その他の公の財産は、 宗教上の組織若しくは団体の使用、便益若しくは維持のため、 又は公の支配に属しない慈善、教育若しくは博愛の事業に対し、 これを支出し、又はその利用に供してはならない。

 

[会計検査]

第 90 条 国の収入支出の決算は、 すべて毎年会計検査院がこれを検査し、 国民委員会の審査を経た後、 内閣は、次の年度に、その検査報告とともに、 これを国会に提出しなければならない。

2 会計検査院の組織及び権限は、 国民委員会の審査を経た後、 法律でこれを定める。

 

[財政状況の報告]

第 91 条 内閣は、国会及び国民に対し、定期に、 少くとも毎年一回、 国の財政状況について報告しなければならない。

 

第 8 章 地方自治

[地方自治の本旨の確保]

第 92 条 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、 地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。

 

[地方公共団体の機関]

第 93 条 地方公共団体には、法律の定めるところにより、 その議事機関として議会を設置する。

2 地方公共団体の長、 その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、 その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。

 

[地方公共団体の権能]

第 94 条 地方公共団体は、その財産を管理し、 事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、 法律の範囲内で条例を制定することができる。

 

[一の地方公共団体のみに適用される特別法]

第 95 条 一の地方公共団体のみに適用される特別法は、 法律の定めるところにより、 その地方公共団体の住民の投票においてその過半数の同意を得なければ、 国会は、これを制定することができない。

 

第 8-1 章 基本的普遍価値と抵抗権

[基本的普遍価値に対する恒久的な不変性]

第 95-1 条 平和主義、 基本的人権及び基本的自由に関する事項は、 人類が獲得し得た最高の価値であり、 これらは永久に変更してはならない。したがって、本条項、第 9 条第 11 条第 18 条第 19 条第 20 条第 21 条第 22 条第 25 条及び第 31 条は、 一切の削除および改変を行なってはいけない。

2 第 1 項で指定した条項の効果を停止、 及び低減させうる条文は追加してはいけない。

 

[抵抗権]

第 95-2 条 すべての日本人は、 第 95-1 条第 1 項で定められた、 基本的普遍価値を除去しようと企てる何人に対しても、 他の救済手段が存在しないときは、抵抗権を有する。

 

第 9 章 改正

[憲法改正の発議、国民投票及び公布]

第 96 条 この憲法の改正は、 国民の要請があったときにのみ発議される。 要請の要件は法律で定める。

2 国民の要請は、 国民委員会の憲法改正審査会で審議され、 当該委員会の全会一致で了承された後、 憲法裁判所で審議され、 可と判決された後はじめて発議される。

3 前項により発議された改正案は、 直ちに国民に提案してその承認を経なければならない。この承認には、 特別の国民投票において、 その過半数の賛成を必要とする。

4 憲法改正について前項の承認を経たときは、 この憲法と一体を成すものとして、 直ちに公布される。

5 憲法改正の対象は、第 95-1 条で規定した条文を除く。

 

第 10 章 最高法規

[基本的人権の由来特質]

第 97 条 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、 人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であつて、これらの権利は、 過去幾多の試錬に堪へ、現在及び将来の国民に対し、 侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。

 

[憲法の最高性と条約及び国際法規の遵守]

第 98 条 この憲法は、国の最高法規であつて、 その条規に反する法律、命令、 詔勅及び国務に関するその他の行為の全部又は一部は、 その効力を有しない。

2 日本国が締結した条約及び確立された国際法規は、 これを誠実に遵守することを必要とする。

 

[憲法尊重擁護の義務]

第 99 条 天皇又は摂政及び国務大臣、国会議員、 裁判官その他の公務員は、この憲法を尊重し擁護する義務を負ふ。

2 過去において、 憲法違反とされた法律の策定・成立に加担した議員は、 直ちにその資格を消失する。

3 前項に該当する議員の所属する全ての政治団体は、 恒久的にその活動を停止する。

 

第 11 章 補則

[施行期日と施行前の準備行為]

第 100 条 この憲法は、 公布の日から起算して六箇月を経過した日〔昭二二・五・三〕から、 これを施行する。

2 この憲法を施行するために必要な法律の制定、 参議院議員の選挙及び国会招集の手続並びにこの憲法を施行するために必要な準備手続は、 前項の期日よりも前に、これを行ふことができる。

 

[参議院成立前の国会]

第 101 条 この憲法施行の際、 参議院がまだ成立してゐないときは、その成立するまでの間、 衆議院は、国会としての権限を行ふ。

 

[参議院議員の任期の経過的特例]

第 102 条 この憲法による第一期の参議院議員のうち、 その半数の者の任期は、これを三年とする。その議員は、 法律の定めるところにより、これを定める。

 

[公務員の地位に関する経過規定]

第 103 条 この憲法施行の際現に在職する国務大臣、 衆議院議員及び裁判官並びにその他の公務員で、 その地位に相応する地位がこの憲法で認められてゐる者は、 法律で特別の定をした場合を除いては、この憲法施行のため、 当然にはその地位を失ふことはない。但し、この憲法によつて、 後任者が選挙又は任命されたときは、当然その地位を失ふ。


公開市民憲法の会
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